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籠の中・・・8
ドキドキドキドキ・・・・・・・・・・元々は、自分からそうしたくて積極的に行動を起したのに、それが現実味を帯びてくると同時に、私の胸は高鳴っていた。
バクバクバクバク・・・・・・・・・
痛いくらいに、心臓が大きく鼓動を繰り返している。
私は、薫さんに言われた通りに大きなバスタオルを数枚、抱え込むようにして持つと、彼に遅れまいとして、その後に続く。
先を行く薫さんが、足を止め、手にしていた二人分の洋服を、それぞれ、丁寧にハンガーに掛け直していた。
意外と、几帳面・・・・・・・・なのかな?!
首を捻りながら見ていると、それに気付いた薫さんが、こっちに向かって声を掛けてきた。
「喉とか、乾いていないか?!」
ぶっきらぼうというか、ちょっと投げやり的な言い方をしてしまうのは、ひょっとして、彼の癖なのかも知れない。
「うん、大丈夫。」
「そうか、オレは飲むけど・・・・・・・・・・・・・ホントにいいのか??」
・・・・・・・・・・・・そう言われてしまうと~・・・・・・・・。
「じゃ、貰おうかな?!」
「何がいい??」
「う~~~ん、果汁系のジュースとか、ある?」
「果汁??あ~、そういえば・・・・・・・・・・・・あるぞ、賞味期限が遥か昔に切れたやつ。オレ、飲まないんだよな、いつだったか勝手に遊びに来た馬鹿兄貴が置いていったやつ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・それは飲めないでしょ?!」
「まあな、他には~・・・・・・・・・・・あ~、これ、何だ?!まあ、いいや、飲めそうだ。」
そう言って、何やらビンに入っている液体を取り出した薫さん。
「あの、薫・・さん?!それ、なあに??」
「さあ??兄貴の置き土産だろ?賞味期限は無事だから、気にするな。」
なんて、言って、ガバガバと思い切りよくグラスに注いでいた。
その色が、妙に赤い。
それって、ひょっとして~・・・・・・・・・・・・・・
「あ、これ、ワインか。」
並々と注ぎ終わってから気が付いたらしい彼は、殆ど空に近い状態のビンを持ち上げると、残量を確かめるようにして、幾度かそれを振っていた。
「ま、いいか、オレなら楽勝だし。」
言うと同時に、彼は一気にそれを飲み干していた。
「あ~・・・・・・・・旨いな。」
手にしていたビンの残りを軽く飲み干した彼は、ケロッとした表情でそれだけ告げると、グラスに注がれた方のワインもあっという間に胃の中へと注ぎ込んでいた。
薫さん、ひょっとして、滅茶苦茶アルコールに、強い??
でも、薫さん(私もそうだけど)未成年だよ。
アルコールは大人になってから・・・・・・・・・だと思うんだけど。
その様子を部屋の片隅で呆然と立ち尽くした状態で見ていると、薫さんと視線があった。
特に、変わった様子はなかった。
見た感じ・・・・・・・・・・・では。
「か、薫・・・・・・・・・さん??あの、大丈夫・・・なの??」
私が恐る恐る様子を伺いながら尋ねると、薫さんはチラとそんな私を軽く一瞥しただけで、近くにあった長いすの上にどおお~・・・・・・・・ん、って、感じに、体を投げ出していた。
「ふう~・・・・・・・・・・・」
息を漏らす、薫さんのその頬が、仄かに赤く染まっていた。
やっぱり、酔ってる!!!!!
薫さんの頬の赤みに、気付いた私の顔から、一気に血の気が引く音がしたように思えた。
「薫さん。」
その場から呼びかけてみる。
けど、薫さんに反応は無い。
いつの間にか、体を横にした状態でその瞼が閉じられている。
薫さん、爆睡?!
「薫さん、薫さんったら!!」
近付き、その体を揺さぶってはみたのだけれど、彼の口からは寝息らしきものが漏れ出していた。
そ、そんなあ~・・・・・・・・・・・・・・・・・!!