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籠の中・・・4

「ちょっと、良いか?!」

「なあに?」


向き合った状態で問われ、私も首を捻りつつ、その言葉に答えた。


「お前、栞・・・・・・・・・・・・だよな。」

「っぐ・・・・・!!な、なんで?????」


私は、彼の言葉に慌てて言葉を繋げた。



「そりゃ、なんでも何もないと思うんだが・・・・・・・・・・取り敢えず、取れよ、それ。鬘とカラコン。」

「~~~~~っっっ!!」


私は渋々、彼の言葉に従った。


長い髪の鬘を取ると、その下から、私本来の黒髪が姿を現した。

ショート丈の黒髪の先端は、ピンピンと外側に跳ねている。

そして、瞳。


そこにはめ込んでいたグリーンのカラーコンタクトを両方とも外した。


「ったく、どういうつもりか知らないが、なんだって瑠依の『扮装』なんかしてきたんだ。」

呆れたようにして、薫さんが大きな溜息を吐いた。


「だって、そうすれば簡単に薫さんが部屋に入れてくれると思ったから・・・・・・・・・・」

「成る程な、で?!本来の目的は?お前、まだ確か、中坊だったよな。」

「ちゅ、中学って言っても、もう、三年生よ!!」


彼の言葉に、私は慌てて返した。

「だから?!」

だけど、彼に素っ気無く返されてしまう。

「だから・・・・・・・・って、別に・・・その・・・・・・・・」

正面から簡潔に問い詰められ、言葉に困ってしまう。


「で、結局は何がしたくて来た訳?!エッチ??」

「う・・・うん。」

「って、簡単に言うなよ!!」

「でもしてくれたじゃない!!」


私達は、声の反響しやすい浴室内で、互いに大声を張り上げてしまっていた。

そのことにはっとして、お互い気不味そうにして口を塞ぎ、視線を逃した。


「兎に角、なんだってお前、瑠依なんだよ。」

「だって、薫さん、彼女のこと好きだって聞いたから・・・それに、私、最近良く瑠依さんに似てるって言われるようになってきたし・・・・・」

「あのな、お前。ハッキリ言っておくぞ。お前の身長、今の段階で、あいつよりもでかいぞ。」

「え?!」

「知らなかったのか?!お前、瑠依と会ってないな、ここ数年。それに、だ・・・・・・・・・・バストのサイズなんだが・・これは、遥かにあいつの方がでっかい。しかも、スタイルにかけても、あいつの場合、文句のつけようがないし、それに、醸し出す雰囲気が全く違う。」

「ス・スタイル・・・・・・・って・・・」

「あ~・・・・・・お前、まだまだお子様体型。」


薫さんの言葉に、私は思い切りよく打ちのめされた。

発育良くて、スタイルだって、自分で言うのもなんだけど、良い方だと自負していたのに・・・・・・・それって、単なる思い込み・・・だった・・の?!

そりゃあ、さ、胸は小さい・・・・・って言うか、殆どない・・けど・・・


「まあ、あれだ、お前、兎に角、風呂だけは貸してやるから、あとは帰れ。」


あっさりと、薫さんに冷たく言い放たれてしまった。

そりゃ、私も悪いけど、薫さんだって、私に対して、してきたじゃない、色々と・・・・・

このまま黙って帰る訳にも行かなくて、そう言うと、彼はこう告げてきた。


「じゃ、やることやれば、おとなしく帰るってこと・・なのか?!」

「うん♪♪♪」


私は、今にも踊りだしそうになりながら、返事を直ぐに返していた。


「・・・・・・・・じゃ、分かった。その代わり、内緒にしとけよ、何かとうるさいからな。」

「うん。分かった。言わないから(^^)」


彼は、私に背を向けると、着ていた制服のブレザーを脱ぎだしていた。

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