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月灯り7

「泣くなよ・・・・・・・頼むから・・・」


匠にいちゃんが、それこそ辛そうな表情を浮かべると、私の身の上で力なく、肩を落とした。


そして、うな垂れるようにして私の体に自分のソレをそっと寄り添わせてきた。

それ以上は何をするというのでもなく、ただ、泣き続ける私の気持ちが落ち着くのを待っているみたいだった。



私の、すすり泣く声だけが、シンと静まり返った室内にこだましていた。


「瑠依・・・・・・・・・・・」


と、それまで静かに私の身に寄り添っていただけの匠にいちゃんが体を起こしながら、私の名を呼んだ。

呼びながら、涙でグショグショになっている私の頬を撫でた。


「これから、俺の部屋に移動しても、良い?!」

「?!」

「移動するから。」


匠にいちゃんは私の返事を待つことなく、そう言い切ると私のおでこにキスをした。

そして、その体を抱え上げ、自分の部屋の方向へと歩き出していた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


抱きかかえられながら、移動を続けている最中、私は何も言わなかったし、暴れることも無かった。

そんなことをしても、匠にいちゃんはその行為を止めることはないだろうし、それに・・・・・・・・・

おかしな抵抗をしたら、ひょっとしたら、ちょっと乱暴にされてしまいそうだし、匠にいちゃんも、そういったことはしたくないから出来るだけ優しくしてくれている訳で・・・・・・・


でも、同意の上で・・・・・・・・・・・では、ない。

よね。


私は、やっぱり志信にいちゃんのことが好きだし。

匠にいちゃんは・・・どうなんだろう?!いるのかな??好きな人とか・・・・・


「あの・・・・・・」


抱きかかえられながら、私は匠にいちゃんに直接問い質してみようと考えて言葉を発したら、ちょっと彼にしては珍しく、表情の無い顔でコチラを見てきた。

ひょっとしたら、匠にいちゃんも、緊張とか、している・・のかな?!


「あの、匠にいちゃんは、好きなひととか、いない・・・・・の?!」

「・・・・・・・・・・・・・いたら、どうする。」

「付き合っているの?!そのひとと・・・・・・」

「いや。」


会話の為、一度止まった彼の足が、再び動き出した。


「じゃ、じゃあさ、その、告白とか、しないの??そのひとに・・・ほら、私とこんなことするよりはそのひとと少しでも仲良く・・っていうか、距離、縮まったりすると、良いと思うんだけど・・・・・」

「距離?!」

「うん。」

「・・・・・・・・・・・・・・・そうだな。」


それっきり、匠にいちゃんは私がどんなに離し掛けても、それに応じてくれることは無くなってしまっていた。

本当は、好きな人とか、いない・・・・・・・・・のかな?!


なんて、思っていると、匠にいちゃんの部屋の前に辿り着いたらしく、あるドアの前で進行を続けていた足が止まっていた。

匠にいちゃんは、黙ったまま、私の体をそのドアの前に降ろした。


「・・・・・・・ふられた。」

「?!」

「ふられたんだ、そいつに・・・・・・・って、言っても、元々そいつ、付き合っている奴いたんだけど・・まあ、横恋慕ってえやつ。なんでかな、俺、誰か他に好きな奴がいる女ばかり、好きになる。」

「ん、た、匠にいちゃ・・・んっ・・・・・・・・あっ、ん・・・・・・・」


言いながら、匠にいちゃんが、柔らかくなってきていた乳頭に再び新たな刺激を与え始めていて、私の口からは、場違いな声が漏れ出していた。


「瑠依。」


乳頭をくりくりと弄びながら、切なそうな声で私の名前を呼ぶ。

私、匠にいちゃんの好きなひとじゃないよ。

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