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泡沫10
信じられないような声がその唇から洩れそうになるのを、咄嗟に止めることが出来たことに驚きを感じていた。先にその部分を刺激された時とは違う、別の感覚に、私の体が思わずそれから逃げ出しそうになっている。
「逃げんじゃねえぞ、希咲・・・・・・・・ま、どうしても・・ってんなら止めはしねえが・・・」
先輩は、ゆっくりとそんな言葉を吐き出しながら、その部分を弄んでいた唇で、私の太股をなぞり、軽く音をたてながらそこに吸いついてきた。
「は、ああん、せ、先輩・・・・・・・・な、なに・・・?!」
「あ??特には・・ただ、お前の肌が余りにも可愛らしんで愛情表現たっぷりとしてやってるだけじゃねえか、なんだ、希咲、嫌なのか?!」
「い・・嫌では・・・・・・・・ないです。」
「なんだ、もっとしてほしくなってきたのか?!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
私が先輩の顔を黙って見つめていると、彼は本当に愉快そうにしてケラケラと笑い声を発していた。
「希咲、お前、顔真っ赤だぞ。」
「は、やああ、はああ、先輩、やあん、ああ、あああああ・・・・・・・・・・・・・・・・」
びくん、びくっ・・・・・・・・・・・・・・・・・
くちくちと湿った音を伴って、私のそこに伝わってくる先輩の指先の感触に、私の体が大きく反応を示していた。
「ああ、はあ、ふうん、はああ・・・・・・・・・・・・・・せ、先輩・・・」
息も絶え絶えといった感じで先輩のことを、何度も呼んでしまう。
手の届くところに先輩の体がある筈なのに、その手がそこに触れることの出来ないもどかしさがあった。
直ぐにでも触れたい先輩の体、すぐそこにある先輩の体。
なのに、先輩に与えられる感覚が、私の通常的に備わっている感覚の全てを奪い去ってしまっているのか、そんな容易なことさえも出来ないままに、私は尚も彼を呼び続けていた。
「なんだよ、希咲、さっきから・・・・・・・・・・・・」
思いの丈をうまく言葉に出来ないまま、彼を呼び続けていると、それが鬱陶しかったのかなんなのかは分からないけれど、先輩がそれまで屈めていた体を起こすと、ゆっくりと私の体の上へと重なるようにしてその顔を見せてくれていた。
「ふ・・・・・・・・・・・んん・・・・・・・・・・・・・・」
見慣れていた筈の、先輩のその顔。
その顔が、いつもと同じように・・ううん、いつもよりも少し優しく微笑みかけてくるそれに、私の涙腺が一気に緩んでいた。
堰を切って流れ出す涙をそのままに、目の前の先輩の体に、私は思い切り良く抱きついていた。
「ん・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ・・先輩・・・・・・・・・・・・・」
泣きながらも、その体を抱きしめる腕に、更に力を籠めて泣いていた。
「・・・・・・・・・お前、俺を絞め殺すつもりかよ。」
暫くの間、そうして泣いて、泣いて、泣いて・・・・・・・・・・・・で、ぐしょぐしょになった顔のまま、やっと気持ちが落ち着いてきたのでその手の力を緩めると、それまで大人しくされるがままの状態だった彼が、少しだけ体を浮かせると、そんなことを言ってきた。
「ご、ごめんなさい。」
「ひでえ顔。」
謝る私に、先輩は間髪入れずに目一杯吹き出しながらそんなことを言ってきた。
けど、その後でぐしょぐちょになっている私の頬にその唇を添えてきて、そのままチュッチュッと何度も頬やおでこにキスをしてきた。
「本当に、手間の掛るやつだな、お前は・・・・・・・・・・・・」
そう言いながら、今度は先輩がぎゅうう~・・・・・・っと私の体を強く抱きしめてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
私が、言葉もないままに、やっと止まった筈の涙を再び零しながらもその体に強く抱きつくと、彼はそのまま、改めて私の体を抱きしめなおしてくれていた。
「先輩・・・・・・・・・・・・・」
とても強く抱きしめられることに、大きな安堵感と、喜びとを感じていた。
だから、そのまま、感情の赴くまま・・・・・・・・・・と、表現してはいけないのかも知れないのだけれど、私は先輩の頬に、自分の唇を添えていた。
すると、私の唇の感触に気づいた先輩がその顔をずらしてきて、彼の唇と、私のそれとが静かに、そして強く重ね合わされていた。
唇だけでなく、互いの舌先を絡めあって、深いキスを繰り返していた。
少しでも多く彼と触れ合っていたくて、彼のその唇と、舌先の動きを、夢中になって追い求め続けていた。
何度も何度も、湿った音を響かせながら、深いキスを続けた後で、彼がそれまでよりもずっと長い時間を掛けて、その唇を重ね合わせてくる。
舌先の絡み合わない、唇と、唇との強い触れ合いを終えた後でその身を少し浮き上がらせてその唇を離すと、先輩が黙ったまま私の顔を見下ろしてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
私が、離れてしまった先輩の唇を名残惜しそうにするかのようにして開きかけたままになっているそれをゆっくりと閉じると、先輩はその時を待っていたかのようにして言葉を吐き出していた。
「希咲、俺は避妊はしねえぞ、だから、このまま続ければ、お前は俺の子供を妊娠する可能性が非常に高くなる。
希咲、お前・・それでも良いか?!」
先輩は、今までにない真剣な眼差しで私の顔を見下ろすと、少し低めの声で、ゆっくりとそう告げてきた。