2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

年下の彼23

「奈々深、これ。」


社員専用の駐車スペースに停まっている彼の車に乗り込んで、シートベルトをお互いに絞め終えたとき、彼が私に向って声をかけてきた。


「なに?!」

「手、出して。」

「うん・・・・・・・・?!」



首を捻りながら彼に向ってその手を差し出すと、その手をぐいって下げられた。




最初、彼の目線に合わせて差し出したその手は、私達の足の上くらいのところにまで下されていた。


ぽん。


その手の平にそれを置くと、彼はひと言。


「それ、あげる。」

ニコリと笑みを添えて、私に向って告げてきた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


これ・・・・・・・・・・

これって・・・・・・・「あれ」だよね・・・・・・・・・


私が目を点にして見下ろしているそれ、それは間違いなく~・・・・・・・・

指輪が入っている・・あれ・・・・・・・・・です。


うっそ・・・・・・・・!!

今、ここで?????


思わず、そのままいつまででもフリーズ。

固まってしまっているんですけど・・・・・・・・・

こういう時、普通はどんな反応をするものなのだろう?!


なんか、驚き過ぎて、何も言えない。

言えないし、動けない。


「奈々深、車、動かしてもいい??」


そんな私のことなどあまり気にかけていないのか、彼がいつもの調子で話し掛けながら、かけていた眼鏡を外すと、スーツの内ポケットにしまっていた。


「悠一くん、メガネ、外しちゃって良いの??」

「これ、伊達だから、今日はコンタクトしてる。」

「そ、そうなんだ。」


ほっとした私の目の前には、眼鏡を外した彼の顔が超・ドアップな位置にある。

そのまま、その唇が軽く重ね合わされるのも、ごく、自然の流れで・・・・・・・


重ね合わされた唇が離れた後で、車の目の前が壁で良かったなあ、とか思いながら、後ろに人がいないか確認とかしたりして・・で、誰もいなかったことにほっとしているうちに、彼が車をゆっくりとバックさせていた。


駐車場を出て、市街を走っている間も、私は彼が手渡してくれた「それ」を手の平の上に置いたまま、それ以上はどうすることも出来ないでいた。


「あ、あの、悠一くん、どこに行くの?!」

「ん?!食事。今日はちょっといつもよりも豪華にゆったりとしてみない??」

「って、まさか、悠一くん、目一杯緊張するようなとこ・・」

「には予約いれていないから心配しなくていいよ、金額的に豪華にするよりも、気分的に満足できるような所の方が奈々深は好きだったよね??」

「?!え、うん。好き。」

「じゃ、異議なし・・・・・ってえことで、良いよね??」


うん。


って、頷いて、それから暫くは会話もなく、その間、彼は黙って目的地に向けて車を走らせていた。

私の膝の上には彼に貰った「あれ」が、両手の平に包み込まれた状態でそこに置かれる形となっていた。

貰ったのは良いのだけれど、それを開く機会を失ったまま、それは閉じられた状態で、私の膝の上に置かれていた。



「うわああ~・・・・・・・・・綺麗~・・・・・・・・・・・」

「ちょっとしたドライブを覚悟した上で付き合ってくれると嬉しいんだけどな」そんな言葉を付け足してきた彼が車を停めたのは、市街地が一望できる高台に建つレストランの駐車場だった。


車がその駐車場に滑り込んできたその途端に、視界に映し出されたその光景。

それのあまりの美しさに感動して、私ったら、気がついたらその身を乗り出すようにしてその光景を見下ろしていた。


本当に、綺麗だった。


「凄いね、悠一くん、夜景がめっちゃ綺麗♪♪♪」

「だろ??」


目の前の光景に感動しまくっている私に向って、彼は得意そうにして笑みを浮かべていた。


「うん、最高、こんなに綺麗な夜景を見ながら食事が出来るなんて、物凄く興奮しちゃうよ~・・・・・・、嬉しすぎる♪♪」

「値段も手頃だから、俺としても嬉しいし・・ね。」

「え、良いよ、今日割り勘にしようよ。」

「いいよ、そういう意味で言った訳じゃないから。」


私の言葉に静かに返してきた彼が、今も尚私の膝の上に置かれ、手に平に包まれたままになっている(推定)指輪入りと思われるジュエリーボックス。

そこに、自分の手を静かに重ね合わせてきた。


「奈々深、これ、正式に受け取ってもらえると、俺としては嬉しいんだけど・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・。」


そのまままた、その体を引き寄せられて、唇をそっと重ねていた。


「私は・・・・・・嬉しいよ、これ、あれ・・だよね・・・・・・・」

私の言葉に、彼がひとつ頷いて返してくれる。


「俺が、開けても良い??」

「うん、そうして。」


彼が、少しその目線を下ろすとそう告げてきたんで、私がその言葉にゆっくりと頷くと、彼はその箱を開き、私に向けて見せてくれた。


一瞬、それが私の視界に飛び込んできて、ドキッとして思わずそこから視線を反らしてしまっていた。


そこには、私が好みそうなデザインの施されたとっても可愛らしい指輪が置かれていて、キラキラと美しい輝きを放っていた。

COMMENT

管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK

トラックバックURL:

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

cork_board template Designed by ARCSIN WEB TEMPLATES Customized by WEB Memorandum