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気まぐれ仔猫Ⅱ・14

私の顔を見て、大笑いをした彼。


暫くの間は、彼的にははまるところがあったみたいで、ひとり、大爆笑を続けていた。

私の顔、そんなにおもしろかった??


ちょっと呆気に取られたけれど、お陰でおかしな緊張感からは開放されることが出来ていた。


大爆笑中だった彼も、ひと呼吸ほどおくと直ぐにいつもの表情に戻っていて、急に何事もなかったかのようにしてタバコを吸い直していた。


切り替え、早い。


そんな彼に少し呆気となっている私を横に、彼はそのまま黙ってタバコを吸い続けていた。





タバコを吸い終えた彼がそのまま立ち上がって歩き出したので、私は慌ててそれを追うようにして後に続いていた。

と、先を歩いていた彼が振り返って私の手のひらの上に、その部屋のカギを手渡してくれていた。


それを受け取って、彼が出てから部屋を後にした私がカギをかけてから歩き出すと、彼がコチラを振り返ることもなく、告げてきた。


「カギ、なくすなよ。」


って・・・・・・・

えっ??

って感じになってた。


私、そのカギを彼に手渡そうとして、小走りになって先を歩く彼を追いかけようとしているところだった。

カギ、私が持っていて、良いの??


「それ、やる。」


私が言葉を返すことも出来ずに呆然としていると、彼が首だけ振り返ってその口元にニンマリと笑みを溢していた。


「お前が、大事に持っていろ。」

そう言いながら、私の体をぐいっ・・・・て、一気に彼が自分の体の方へと引き寄せて来ると、そのまま、彼が強くその唇を重ね合わせてきた。


ここ、廊下なのに・・・・・・・・

確かに、部屋を出た時、人影は周囲になかったけど・・でも・・・・・・・


なんて思いながらも、触れてくる彼の唇から伝わってくる感触に、いつしかそんなことも忘れて、そのまま強く口付けを続けてしまっていた。

彼の体に腕を廻し、目一杯背伸びしながら潮騒の音と、潮の香りを運んでくるそよ風に包まれながら、その場でふたりきりの時間を過ごしていた。


幸いなことに、そこを通る人影もなく、私達はその触れ合いを続けることが出来ていた。


「・・・・・・・海里、カギ、ちゃんとしまっておけよ。」


その言葉を添えて、彼がその唇を私の頬に添えてくる。

「うん。」

彼の唇を頬に受けたまま、その体に甘えるようにしてすりよると、私はひとつ頷いて、それから彼の唇に「ちゅっ♪」軽く、唇を添えていた。


も、どれだけキスを繰り返せば気が済むんだ、ってくらいにキスをしても、それでも飽きることはなくて・・・

彼との触れ合いがとても楽しくて、何度でも、何度でも、彼のそれに触れてしまう自分がそこにいた。


で、そこまでしておいて・・・・・・・・・・・・

なんで、エレベーターに乗ってから部屋の中での私の顔を思い出して笑ったりとか、するかなあ??


なんて不満(?!)は置いておくとして、エレベーターが1階に辿りついて、開いた扉の向こうに見えた風景に、思わず感動しちゃった。

だって、海が、物凄く綺麗♪♪♪


ここに着いた時は、景色を楽しむような精神的余裕はなかったけれど、今は別だった。


「ね、りゅうちゃん、浜辺にいってみたい。

行っても良い?!」


思わず眼前に拡がる景色に、彼よりも先にエレベーターを勢い良く降りると、そのまま興奮した顔で彼に向って話し掛けていた。


「ああ。」


という、彼の返事を耳にした私は、大好きなおやつを前にして、目一杯尻尾を振り捲くっている子犬のようにして、目を輝かせ、心地良い寝床を見付けてごろごろと喉を鳴らしている仔猫のような仕草で私は悦びを表現すると、外に飛び出していた。

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