スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
気まぐれ仔猫Ⅱ・13
彼のその指元を見てみると、そこには長年それをはめ続けていたことを物語るようにして、うっすらと指輪の痕が残っていた。「りゅうちゃん、これ・・・・・・・」
「あ?!お前に預けておいてやらあ、何かの役に立つか、逆に災いを招くことになるかは分からねえが、暫くの間、そうして身に着けておきな、その結果次第でその後の事は考える。
それでいいか??」
なんて言いながら、彼が私の顔をジッ・・・・・・って感じに見据えてくる。
「い、いいか・・・・・・・って・・・・・・・・う、うん、いい・・よ、ってしか、私は言えない。」
「ま、普通に生活している限りは何の役にもたたない、ただのアクセサリーだ、気にするな。」
ぽんぽん、って感じに、彼の手が軽く私の頭の上に置かれると、そのまま、わしゃわしゃわしゃとちょっと乱暴に撫でられる。
「海里、このまま帰りの準備、出来るか?!」
彼が再びその身を私の足元に思い切り良く屈み込ませてきて、その口元に笑みを浮かべると、丸で小さな子供にでも質問をするようにして聞いてくる。
「りゅうちゃん・・・・・・・・帰りの準備くらいなら、出来るよ。」
少し頬を膨らませて返すと彼は「そうか」といって立ち上がると、スタスタと無言のままバスルームへと向っていた。
「じゃあ、準備、しておきな。」
パタリ。
そのひと言を残し、彼はバスルームへとその姿を消していた。
・・・・・・・・・・ちょっと、悲しい・・かも・・・・・・・・・
少しの間、もの寂しさからその場に座り込んだ状態のままでいたのだけれど、いつまでもひとりでそうしている訳にもいかないから、自分のその部分をティッシュで拭い取り、もぞもぞとした動きで帰る為の準備を始めていた。
「海里、そこのクローゼットから、俺の服を取ってくれ。」
バスルームのドアを開けて、彼に言われ、私が言われるままにクローゼットを開くと、そこに掛けられていた服を目にして、少し、固まってしまっていた。
だって、そこにある服って・・・・・・・
「ふ・・・ん・・・・・・・・・着慣れねえもんに袖通すってえのは、落ちつかねえもんだな。」
私が手渡した服を着て、そう呟きながら大きめのソファーにゆったりと腰を下ろしている彼は大きな吐息をひとつ吐き出していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そんな彼を目の前にして、私は開いた口が塞がらないまま、呆然と立ち尽くした格好でそんな彼を見下ろしていた。
「なんだ、海里、立っていねえで横に来い。」
彼が愛用のタバコを口元に運びながら、私を見てくる。
でも、でもでもでも・・・・・・・・・
前髪下ろしている彼、はじめて見た。
しかも、その服装、普通一般と変わらない。
見た目、ちょっとクールっていうか、目つきの鋭いお兄さん。
で、むっちゃかっこいい♪♪♪
ぎゃあ~・・・・・・・・・りゅうちゃん、いつもその格好してて!!
って、めっちゃ思い切り良く切望したくなるような姿の彼が、私の目の前で火の点いたタバコを口にしている。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
ちょっとぎこちなくその横に座る私の肩に、彼が何気なくその腕を廻してきただけで、これでもかってくらいに心臓がバクバクバクバク、激しく高鳴っていた。
彼にそうして肩を抱かれるのなんて、はじめてのことじゃないのに、それ以上のこと、沢山しているのに、なのに、心臓のバクバクが止まらない。
「海里、顔、すげえ真っ赤だぞ。」
って、りゅうちゃんに改めて言われるまでもなく、私の全身がまっかっかに染まり上がっていることくらい、自分でも分かっていた。
で、そのまま、まっかっかな顔で、超・ど緊張の表情を彼に向けたら、これでもかってくらいに思い切り良く彼が笑い転げていた。