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気まぐれ仔猫Ⅱ・12

・・・・・・・・・・・・随分と、濡れてきているじゃねえか。


彼がその部分の液体をその指先で拭い取りながら、満足そうにして笑みを漏らしていた。



「今すぐにでも、俺の本体をいれられそうだが・・・・・・・」


くにくに、こねこねとその部分を指先で弄びながら、彼が言葉を続けてくる。




「それは、また今度・・・な。」

「うん。」


彼がその言葉を吐き出しながら、またその唇が重ねられ、そして離れる。

一度離れた後で間をおいてから、今度は私が彼のその言葉に小さく頷きながら彼のその首に自分の腕を巻きつけ・・それから、彼のその唇に、自らのそれをそっと添えていた。


軽く添えた後で、彼のその顔を改めて見つめなおすと、彼の視線が真っ直ぐ、私に向かって返ってくる。


「りゅうちゃん。」


甘えた声を伴って、彼のその体に抱きつけば、彼が私のその体を抱き締め返してくれていた。


暫くの間、お互いそれ以上は何もしないで、そして、言葉を口にすることもなく、ずっとそうしていた。

で、更に・・・もう少し・・時がゆっくりと流れて・・・・・・・・・


彼が「ちょっと待ってろ」と言って私からその体を離すと、ベッドの引き出しを開いて何やらゴソゴソと取り出しているみたいだった。


「・・・・・・・・・・。」


戻ってきた彼が黙って差し出したそれは、綺麗にラッピングされた細長い箱だった。


「?!」

私が不思議に思って彼の顔を見上げると、彼は「開けてみろ」って感じに首を動かしてくる。

だから、私はその綺麗なラッピングを丁寧に解いて、中から出てきたものを改めて手にしていた。


やっぱり・・と、いうべきなのか、そこから出てきたのはネックレスなどを収めるのに使うケースで・・・・

私が戸惑いながらまたも彼の顔を見上げると、彼はその身にいつの間にかシャツを羽織っていて、タバコを口に咥えながら更にそれの中身を出すよう、促してくる。


「綺麗。」


私が手にしたケースの中に収められていたものは、シルバーの細めのネックレスだった。

日の光に触れると、キラキラキラキラととても素敵な眩いばかりの光を反射して、すごく綺麗だった。


「・・・・・・・・・・・・。」

私がそのネックレスの美しさに心を奪われているその最中に、彼はその視線を落として、何やら自分の手元でグリグリ・・・・・・・


「海里、そのネックレス、外してみろ。」

「え、良いの?!」


思わず聞き返すと、彼が短く「ああ」と返してきた。

私は大喜びでそれを外しに掛かったのだけれど、その手が僅かに震えていた。

そういったこともあって、なかなかうまく出来なかったけど、何とか外し終えて、その視線を上げると、何時の間にか彼が私の直ぐ目の前にまで歩み寄ってきていた。


シャリリ・・・・・・・ン・・・・・・・・


澄んだ音を響かせて、それがネックレスの中に通された。


「・・・・・・・・・・りゅうちゃん、これって・・・・・・・・・」


私が手にしているネックレスに通されたそれ、それは・・・・・・・・・彼がいつもその左の指にはめていた指輪だった。

私が彼と初めて出会った時には、既にその指にされていて・・それが、薬指だったから「あ~、この人結婚しているんだ。」って、勝手に思い込んでいた。


でも、実際には「未婚」でその指輪は彼の「恩ある人物」から記念に貰ったものであるみたいだった。


あ、因みにそれは、男の人だって、りゅうちゃんがその世界に正式に入ることになった時、昔からお世話になっている方が記念にくれた一品であるらしいことを、いつだったか聞かせてもらったことがある。


そう、あれは、まだ彼が私のグチを聞いてくれていたころの事だった。

私が余りにもその指先を見ていたものだから、彼が笑いながら教えてくれたのがそういった内容だったと思う。

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