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魅せられて2
っち・・・・・・・・・・あれ?!
気のせい??
今、舌打ちした音が聞こえたような・・・・・・・・・
それまで重ね合わせた状態だった唇が離れると、兄貴の口から、舌打ちする音が聞こえたような気がした。
「お前、やっぱりまだ、時期、早いぞ、お前にここ最近言い寄ってきている馬鹿男、いるだろ・・そいつ、迂闊に近付けるなよ!!すぐにやられるからな。」
お、お前・・・・・・??
馬鹿・・男・・・・・・・・・って兄貴、どうしたん?!
って、思うくらいに普段とは違う言葉を並べ立てると、兄貴はすっと私から離れて、部屋の窓辺に立っていた。
確かに、兄貴の言う通り、最近私にしつこく交際を迫ってきている奴がいることも事実だった。
「ちっくしょう、こんな天気の時はあまり出歩きたくねえんだがな。」
シトシトと小雨の降っている空を見上げると、兄貴は忌々しそうな表情を浮かべていた。
あ~、そう言えば、兄貴が私に買い物を頼むのは、いつもこんな天気の時だった。
「おい、柚良、簡単にそいつにやらせんじゃねえぞ、今日は出来ねえが、そのうち出来るようになったら俺がするからそれまでは大事にとっておけ、分かったな!!」
なんて・・・めっちゃ自己チューな注文(?!)まで発してくる。
・・・・・・ホント、今日の兄貴、変だよ。
私がそんな兄貴を呆然として見ていると、兄貴、なんだか一気に全裸状態。
・・・・・・・・・・・・・ほんと、何考えてるん?!
私が兄貴の精神状態に疑問を抱き出した時だった、兄貴は目の前の窓を開けると、全裸のまま、そこに飛び乗っていた。
「ちょ、まっ・・・・・・・・・・!!」
私が声を掛けるよりも早く、兄貴はその窓の渕から姿を消していた。
慌てて兄貴のいなくなった窓辺にまで駆け寄って、下を身を乗り出して覗いてみると、屋根の上のある目と視線が重なった。
「・・・・・・・・・・・・・・って、あれ??」
其処に居たのは、兄貴じゃなくて、大きな一匹の犬・・・・・・・・ってえよりも、なんだろ??
この場合・・・・・・・・・ひょっとしなくても、それを「狼」と、判断した方が良い・・のかな??
いや、まさか、ねえ・・その、正直言って、私、そういう話、好きだけど。
「・・・・・・・・・・・。」
なんて私が勝手にひとり問答(?!)をしている内に、金色に輝くふたつの瞳を光らせて暫くの間私の事を見ていた大きな犬(狼?!)はそのまま身を翻すと、軽く屋根から飛び降り、道の向こうへと姿を消していた。
その周囲のどこを見渡しても、人としての姿をしている「全裸状態」の兄貴は何処にもいなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
兄貴の部屋に残されて、そのまま、呆然と立ち尽くした後で、自分も同じことが出来るかどうか、念の為試してみたけど、それらしい兆候は全くなかった。
なんで、兄貴が「(推定)人狼」なん?!
私は、ひとり、兄貴のベッドの上に座ると、首を捻っていた。
だって、この場合、どう考えても、そう捉えるのが正解・・・だよね。
何度見直しても、人としての手のままで変わることのない自分のそれを見ながら、私は何度も首を捻っていた。
カタリ・・・・・・・・・・と、窓辺で音がして、全裸状態の兄貴が帰ってきたのは、それから数時間ほどしてからのことだった。
「!!なんだお前、まだいたのか?!」
室内にまだ居た私に、兄貴は不服そうだった。
兄貴・・・・・・・・・・兄貴・・で、良いのだろう・・・か??
まあ、いいや、この際。
「なに??してたの?!今まで・・・・・・・・・・」
「あ??種付け。」
「!!!!!!!!」
その言葉に、私が驚いていると、兄貴は即座にこんな言葉を付け足してきた。
「どうせつかねえ種・・だがな。」