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深紅1

「・・・・・・・・・・・・・・・。」


そいつと、目が合った。


所謂、三白眼と言われるその目付き。

そして、細い眉。


なんで、その眉の色までもが髪の色と一緒なのだろう?!

思わず、首を傾げてしまう。


そんな彼が、その長めの前髪を留めている「深紅」の細いカチューシャ。

細く、柔らかなその髪の色は、何故か淡い朱色に近く、部分的にオレンジ色が混ざり合っている部分がある。


それと眉の色がお揃い、って凄い・・・・・・・・よね??





彼は、他校の超・有名人だった。


「で・・・・・・・・なんであんたは当然のようにして、ここで食事してるのよ。」

「ん~・・・・・・・、お前が今日の夕飯はめっちゃ美味しいのにするう~~♪♪♪って、顔してたんできたんだが・・なんだ、コロッケか。」

「コロッケを馬鹿にするなあ~・・・今日のコロッケは今までのなかでも改心の出来なんだから!!!」


私達は夕飯を揃えたテーブルを挟んで、そんな会話を繰り返していた。

実は彼、私達が居候というか、好意によって住まわせていただいている家の息子。

勿論、それなりの労力奉仕はさせていただいております。


なんか、結構楽しかったりするのです。


しかも、彼が住んでいるその家は小道を跨いだすぐ目の前にある。

でもってその家の敷地には、沢山の墓地。

私達が住んでいる建物は、その敷地内の片隅にあるのです。


そう、彼、こう見えても実は将来のお坊さん候補・・・で、あったりするらしい・・のです。


このまま僧衣とか身につけたら、めっちゃ目立つ、よね・・・・・・・ってえより、コイツの坊主頭なんて全然想像できないし、無理だよね、こいつにそんな役目、こなせっこ無さそうだし。


お父さんは檀家さんとかに結構人気(?!)というか、信頼されているみたいだけど・・・・


・・・・・・・・・・・・実は、私、そんなこいつと付き合っているというか・・・・・他では余り接点がないけれど、こうして家に帰るといつもこんな風にして一緒に時間を過ごしたりとかしている。


Hはまだだけど・・・・・・キスは既に経験済み。

うん、した。

触れるだけの優しいキスに、舌を絡めあうディープなキス。


どっちも人影の無い外でたっぷり(?!)と・・・・・・・・

だって、だって、さ・・・・・・・その、こいつが相手だと、なんだか断れないんだもの。



唇を重ねられたとしても、その上に舌先が侵入してきて口腔内を弄ったとしても、どちらも、私としてはとっても心地が良くて・・・・・・・

そういった重なり合いというか、触れ合いもあってか、こうして離れられずにいるというか、なんというか・・・・・・・



面と向かって「付き合って」って言われた訳ではないのだけれど、そういうのって、ちょっとやばかったりとかもするのかな??

その、弄ばれているというか、都合の良い相手にされているとか・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・・・。」


そんなことが頭の中を過ぎっちゃったりとかして、でもって少し不安を感じてしまったものだから、テーブルの向こうに居る奴をそっと見てみた。

と、奴はそんな私の気持ちなんて全く気付いていないかのようにして、つけられていたテレビの画面に視線を向けると、そのまま見入り出しているみたいだった。


「ね、智成、私達の関係って、何??」

「さあ??」


思い切って聞いてみたら、その視線をテレビの画面から外すことなく彼、智成にアッサリと返されてしまったりとかしてりして。


私達、倦怠期(?!)の夫婦じゃないんだけど・・・・・・ってえより、長年連れ添った(?!)熟練夫婦(?!)とかでもないんだからさ、言ってくれないと不安なこともあるし、だからこそ、心配だってしちゃうんだよ。


私、こんなんでも智成のこと、好きみたいだし。

私としてはハッキリと言ってもらわないと、困るよ。


「なんだ、気持ちの踏ん切りが付かないのか、普通、相手のことなんとも思っていない状態で、キスとかはしねえだろ??ただ、そういったことがしたいだけでしてくる奴もいるかも知れねえが、俺は違うぞ。」

「・・・・・・・・あ、そう、そう・・なんだ。」

「あ~・・・・・・・・不満か??」

「そ、そんなことは、ないよ。」


私は準備の整ったテーブルの前で膝を折り、その上に乗せていた手の平をぎゅっと握り締めるかのようにして奴、智成に向かって言葉を返していた。


「・・・・・・・・・・なあ、進級祝い、してみねえか??お互いの・・・・・」


智成の視線がそこから離れることはなかったけれど、その顔がいつになく真剣なように思えた。

進級祝い??

確かに、私達はこの春を期に、お互いが進級を果たしている。


彼は高3。

私は高1。


「避妊準備はバッチリ。」


そういった彼が私達の目の前に掲げたそれは、避妊具としては御馴染みの一品だった。

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