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真昼の月=優しい誘惑4=
「志信・・・・・・・・にいちゃん・・・・・・」その大きな体にスッポリと体を包み込まれた時、私は安堵感からか、涙をぽろぽろと溢していた。
「志信にいちゃん、志信・・・・・・・・・・うっ・・・・・・・ふう~・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・」
後はもう、言葉にならなくって、彼の背中に思い切り良くぶら下がるかのようにそこに両手を廻すと、あとはただ、声を出して泣きじゃくるだけだった。
「すまなかったな、手筈が整っていなかったばかりに、お前には辛い思いをさせてしまった、すまない。」
そう言いながら、彼が改めて私の体をぎゅうっと、抱き締めてくれていた。
「志信にいちゃん、もう、大丈夫、なの??私達、一緒にいても、差し支え、ない?!」
「・・・・・・・・・・・・・完全とはいえないが、充分な位置を得ることは出来てきた、後は、ジックリと足固めを着実に行いながら進めていけばなんとかなる。」
「ん・・・・・・・・・・・。」
彼の言葉に安心したのか、一気に私の全身から力が抜けると、私はそのまま意識を失ってしまっていたようだった。
薄れいく意識の中で、玄関口に待機していた数名の女の人達の悲鳴のようなものを聞いた気がした。
それをなだめ、沈めた上で志信にいちゃんが私の体を抱きかかえると、そのまま私の寝室にまで運んでくれていた。
私の寝室・・・・・・・・・そこは、「私達ふたりの寝室」になっていた。
ふたり。
つまり、私と、志信にいちゃんの・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・。」
私がその意識を取り戻して、目を開いた時、その時は既に外は暗闇に包まれていた。
視線で室内を見渡すと、その先に小さな灯りを頼りに何やら作業に打ち込んでいる志信にいちゃんの姿を捉えることが出来ていた。
「?!瑠依・・・・・・・・気がついたのか。」
私がその視線を自分に向けていることに気がついた彼が、その顔を上げると、安堵感からその胸を撫で下ろしているようだった。
そして、私に語りかけながら、ゆっくりと枕元に近付いてきた。
「・・・・昼間の間、少し微熱が出ていたようだが・・・・・今は、平気なようだな、何か、食べるか?!それとも、飲み物でも・・・・・・・」
「お水、飲みたい。」
「水・・・・・・・・か、あるぞ、待っていろ。」
私の言葉に答えて、彼が枕もとの近くに置かれているワゴンに手を伸ばしていた。
「起きれるか??」
冷たい水の入ったコップを手に、彼が私の方を振り返る。
私はのろのろとその体を起こして、彼が差し出してくれたそれを受け取ると、それを喉の奥へと流し込んでいた。
「もう少し、ゆっくりと休んだ方がいいだろう、寝れるか??」
私が飲み終えたコップをワゴンに戻しながら、彼が問い掛けてくる。
「うん・・・・・・・・・志信にいちゃん。」
「ん??」
「志信にいちゃんは・・・・・まだ、寝れないの?!」
「ん~・・・・・・ま、色々と溜まっている仕事があって、な。」
「そう。」
私が力なくそう返すと、そこから離れかけていたその体を彼が止めていた。
「少し、一緒にいるか??」
「え、いいよ、仕事、大変なのに・・・・・・・・」
「構わないさ、中休みだ。」
言うと、彼がその体をベッドの中へと滑り込ませていた。