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年下の彼15
「奈々深・・・・・・・・・・」後ろから彼が私の名前を口にした。
その手が、私の腰の両側をシッカリと押さえ込んでいる。
「入れても良い?!大丈夫??」
彼が、そっと耳元で囁いてきた。
「う、うん・・・・・・・・・」
私は自分の腰を支えている彼の腕に掴まりながら、ぎこちなくその首を縦に振る。
まさか、この年齢で「私初めてだから・・・・・・・・・・・・」なんて、言えない。
「・・・・・・・・そ、じゃあ、いれるね。」
彼が少しだけ間を置いてからそう宣告すると、彼は自分のそれを私のその部分にあてがってきた。
彼のそれが、私のその部分でくにょくにょとした動きを繰り返している。
・・・・・・・ひょっとして、何かの理由とかがあって、はいらない・・・・・・・・なんてこと、あったりする・・のかな?!
その時間が私にとっては物凄く長く思えて、ついついそんなありもしないことを考えては、不安になってしまっていた。
けれど、だからと言って本当にはいらないからそうされているのか、その現状を振り向いて確かめる・・・なんてこと、出来ないし・・・・・
「その時」が近づけば近付く程に、私の中では不安が増してきて、私は行き場のないその不安を彼の腕を掴むその手に力を籠めることによって、なんとかして乗り切ろうとしていた。
「奈々深、本当に、いれても良いの?!」
私の異変と言うか、緊張を察したのか、彼が心配そうにして私の顔を覗き込んでくる。
「え、い、良いよ、うん、大丈夫・・・気にしないで、いれちゃっていいから・・・・・・・・」
そう伝える私の笑みが、目一杯引きつっていた。
「本当に??」
彼が、不審そうな表情を浮かべ、首を捻りながら聞き返してくる。
「う、うん。」
頷く私の笑みは、やっぱりぎこちない。
「・・・・・・・・・・・あのさ、奈々深。」
「な、何?!」
「俺、男だからそういったことって良く分からないけど、女の人って、一般的には最初って、凄く痛い・・んだよ・・・・ね??
奈々深、本当に良いの???」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
嫌です。
なんて、言えない。
だって、だってだってだって・・・・・・・・・やっぱり、その・・・・・・・・・・もう少し・・・待って・・・なんて、言ったりしたら、折角のムードというか、雰囲気ぶち壊しだろうし。
ど、どうしよう?!
なんて思っていたら、私達、バスタブの中で立ったまま、奇妙な硬直状態に陥ってしまっていた。
「・・・・・・・・・・・っぶ・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・っぶ??
「奈々深、この先はまた今度・・ってことにしようか?!」
それまで真剣な顔して何かを考え込んでいた彼が、少し噴き出した後でケラケラと笑い出すと、そんなことを告げてきた。
「え?!」
状況が飲み込めなくて、そのまま呆然としてしまっている私を余所に、彼はまだケラケラと笑みを溢し続けていた。
「あの、悠一・・・・・・・・くん??」
「ん、なあに?!」
「え・・・・・・・・・・っと、その、私、そんなに可笑しかった??」
「ん?!そんなこと、ないよ、ただ、なんとなく・・・・・・・・・奈々深もおいで、座りなよ、体、随分と冷えちゃったみたいだし・・・・・・・」
突然の彼の行動の意味が理解できないままに、私はぽかんとその場に立ち尽くすばかりだった。
そんな私に向かって、彼がその体を湯船の中に思い切り良く浸からせた後、私を促すようにして、その手を差し伸べてくれていた。
大好きな、大好きな、彼の手・・・・・・・・・
「う、うん・・・・・・・・・」
私は胸の内から湧き上がり、溢れ出して零れ落ちそうになる程の沢山の悦びの思いを噛み締めて、彼が差し出してくれたその手に、自分のそれを添えていた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
彼に腕を引かれ、導かれるかのようにして、それまでと同じく、私は彼の体の前に彼と同じ方向を向いてそこに腰を降ろした。
「奈々深。」
私がそこに腰を降ろしてほっと吐息をひとつ吐くと、彼が後ろから優しく伸ばしてきたその腕で、私のその体を抱き締めてくれ、そして、キスをしてくれる。
ただ、唇を触れ合うだけの行為でも、私にとっては何よりも極上の愛情表現だった。
彼の柔らかなその愛情でたっぷりと包み込んでもらえることに悦びを感じながら、私はそれまでよりも、より、暖かな思いで自分の中が満たされていくことを感じていた。