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籠の中・・・3

それまで、私の上に乗り、ガッチリと押さえ込むようにしていた薫の体が、なんの前触れも無く離れていった。

自然と、重ねられていた唇も離れる。


そのことを惜しむようにして、薫の背に回すような形になっていた私の両手も滑り落ちるようにして離れた。

いつの間にか、私の両手は薫の背中を強く、抱きしめるような形になっていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


彼は、身を起こし掛けた状態で、無言のまま、視線を移していた。


私も薫の視線の先を追うようにして、そちらに視線を移していた。


彼が見ていたのは開け放たれたままになっている浴室。

その奥に、浴槽が見える。


・・・・・・・・・・・・・・・。


薫が、無言のまま、私の体を軽々と抱えあげた。

お姫様抱っこ。

彼はそのまま、浴室へ向かって移動を開始した。


そのことが、何を意味しているのか、いくら私でも想像は出来る。

薫とのはじめてのキス。

そして・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・。

薫の動きが止まる。

彼は、浴槽の縁にある蛇口に視線を落としている。

浴槽の中は空っぽだった。


キュッ・・・・・!!


薫は私を抱えたまま少し体を屈めてそれの蛇口を捻った。

・・・・・・・・・・・私は、そんな薫の横顔を、そっと覗き込む。

気のせいかも知れないのだけれど、さっきよりはその表情が和らぎ、いつもの彼に戻りつつあるように思えた。


自分を見る私の視線に気付いたのか、こちらを見た薫とその視線が重なった。

「・・・・・・・・・・・・・。」

暫し、彼は何かを言いたげに、口元を動かしかけたのだけれど、そこから何らかの言葉が発されることは無くて・・・彼は、何か照れ臭そうな、気まずいような表情をすると、私から視線を逸らしていた。


「ね、薫。」

私は彼の耳元に出来るだけ優しく語り掛けた。

「?!」

「下ろして、もらえない・・かな??」


私の言葉に反応した彼に、そっと囁きかけた。

「あ、あ~・・・・・・・・」

薫は、言葉少なにシドロモドロとした返事を返すと、スンナリと私の体を開放してくれた。


ちゅっ・・・・・・・!!


軽い音を伴って、離れかけた二人の体が、再び重なり合った。

重なったのは、体だけではなくて、その唇も触れ合っている。


今度のキスは、私からのキス。


静かに、彼のそれに自分の唇を触れた。

触れるだけのキスをする為に重ねられた唇。


「ん・・・・・・っ!!」


けれど、触れ合った唇の間を掻き分け、薫の舌が入り込んできて、私のそれに絡みつく。


くちっ、ちゅっ、ちゅくっ・・・・


互いの舌を絡み合わせたまま、薫の腕がゆっくりと私の制服の上から、乳房の膨らみを撫でる。

「ん、ん・・・」

その感触に身を委ねるような、むずかる様なおかしな仕草をとってしまう。


暫しの深いキスを互いに堪能した後、彼の方からゆっくりと唇を離すと、少し真剣な眼差しの彼がいて・・・・・

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