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年下の彼11
「奈々深、今日、暇?!」「えっ、うん。」
「そう、出て、これる・・・かな??俺、今奈々深のアパートの前にまで来ているんだけど・・・・・・・」
電話の向こうの彼の言葉に、思わず携帯を片手に持ったまま、部屋のドアを開け、階段の踊り場から下を覗き込んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
そこには、携帯を片手にコチラに向かって手を振る彼の姿があった。
「奈々深。」
玄関のドアを閉じると、彼が冷たい空気をその身に纏ったまま、後ろから私の体を抱き締めてきた。
「やだ、悠一くん、体、物凄く冷え切っているよ、どうして??」
「ん・・・・・・・・・外で、少し考え事してた。」
「って、えっ?!何で??車で来てるのに、この寒い中外で考え事なんかしてたら凍えちゃって当たり前ジャン、何考えてたの?!」
「ん、いろいろ・・・・・・・・・・」
言いながら、彼がそのまま私の頬にキスをしてきた。
あれから数年の月日が流れた今は、彼は立派に社会人として活躍していて、スーツをその身に纏う姿もかなり板についてきていた。
少年から、立派なひとりの男性として成長を遂げた彼は、とても素敵な男性になっていて、その成長振りには目を見張るものがあった。
体つきも、出会った頃よりも一回りほど大きくなっていて、私の体なんか、余裕で抱き込まれてしまうくらいで、彼がその気になって力攻めなんかしてたとしたら、当然のことながら、私にはどうすることも出来なかったと思う。
けれど、彼はそういったこともなく、現在に至るまでの間私との関係を大切に保ち続けてくれていた。
そろそろ私達の関係も、新たな進展に至る時期に来たのかも知れない。
冷え切った彼の体が、室温と、私との体温によって徐々にその温かさを取り戻していることを感じながら、私はそんな思いを過ぎらせていた。
「奈々深。」
もう一度名前を呼ばれ、その体の向きを変えられて、今度はお互いの体を向き合わせた体勢でキスをしていた。
彼と交わしたキスは数え切れないけれど、何度触れ合っても、いつも新鮮な気がして、彼と初めて出会ったころの事を思い出す。
「・・・・・・・・・っ!!と、ごめん、奈々深。」
唇を離した彼が、何かに反応して、驚いたようにしてその身を私から慌てて引き離していた。
「?!」
「奈々深、お風呂上りだったの??ごめん、俺、つい・・・・・・・・・」
私の服装を目に留めた彼は、私がお風呂上りであったことを理解して、慌ててしまっていたようだった。
「・・・・・・・・別に良いよ、そんなの、気にしないで。」
私は笑いながら彼に向かって告げると、室内に上がるよう促していた。
「だって、奈々深、その・・・・・・・俺のせいで体、一気に冷え切っちゃったでしょ??風邪、ひいちゃうよ。」
「そんなこと無いよ。」
言いながら、彼専用の温かい飲み物を用意しようとすると、彼が少し怒ったような表情で、私の腕を掴んできた。
「俺の事はいいよ。」
「じゃ、一緒に入ってみる??お風呂、悠一くんの体だって目一杯冷え切っていると思うけど・・・・・」
彼の顔に向かって笑顔で言葉を掛けると、彼は少し戸惑ったかのようにして私から視線を逸らしていた。