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泡沫1
「おい、希咲。」町を歩いていて、聞き慣れた声に呼び止められた。
振り返ったそこには、見慣れた先輩の姿と、それを取り巻く(?!)危ない世界の方々がズラリと肩を並べて立っていた。
「先輩、一般の方々が目一杯びびってるんですけど・・・・・・・・・・・」
「あ~・・・・・・・・・俺は何もしてねえぞ、あいつらだって特には何もしねえよ、立ってるだけだ。」
それだけでも、他の方々は十分過ぎるほどのプレッシャー、感じていると思いますけど。
即座に言い返しても、彼は「気にするな」と言って私の肩に腕を廻してきた。
「いろんな方面の方々から誤解を受けかねないんで、そういったことを公衆の面前で軽々しく行うことも止めてくれませんか??」
淡々と彼に告げると、彼はタバコを口元に運び、火を点け終えた後で私の顔を見て言ってきた。
「余りにも五月蝿えこと言ってると、ここで無理にでもお前の唇奪っちゃうけど、いいのか??」
・・・・・・・・・・・仕方がない。
私は大きな吐息をひとつ吐き出すと、その視線を真横に居る彼に向けていた。
「手短にご用件、伝えて頂けると有難いんですが・・・・・・・・・・」
「そう言うなよ。」
少し不機嫌そうな顔で告げると、彼は嬉しそうにして悪戯な笑みを溢していた。
出来ることなら喫茶店で紅茶とか飲みながらノンビリと・・・なんて、淡い希望を抱く私も私だけど、この面子に付いて来られたんじゃあ、他の方々が混乱を来たしてノンビリどころじゃなくなってしまう。
ってなことで、私達(私)は徒歩で一気に大移動を(強引に)開始していた。
私の肩に腕を廻した状態の先輩をそのままに、一部の護衛らしき一団と、それを慌てて車に乗り込んで追ってくる一団を引き連れて、私達はお互いが在学中の頃から良く話し込んでいた河川敷近くにある土手のところにまで来ていた。
この場所は先輩がまだ在校生だった頃からの定番なので、あいつらもそこのところは弁えているだろう、と、言うことで、本当に一気に目的地にまで向かって早歩き&高速ランニングでもするかのようなスピードで目的地に向かっていた。
先輩に呼び止められたその場所と、河川敷近くの土手までは、運動するには程好い(?!)距離が有る。
「お前、俺の今の体力も考慮して動け。」
目的地に付いた頃には、彼の息はかなり上がっていた。
「おや、そうですか??私はいつもと同じペースなんですが・・・・・・・・・」
なんて、白を切っている横で彼は荒い呼吸を繰り返したまま、土手のところに大の字になって思い切り良く寝転んでいた。
「先輩、卒業してから今までの間、かなり暴飲暴食&喫煙、繰り返していました?!言ったじゃないですか、先輩、お酒にしても、タバコにしても、程々にしておいた方がいいって。
・・・・・・・・最も、先輩の場合、早くから法律無視で吸いまくりの飲みまくり状態でしたからね、その体壊れるの、時間の問題かも知れませんよ??
先輩のペースはかなり度を越えているように思えますから。」
「う、うるせえな、どっかの女がぎゃあぎゃあわめくんで、これでも節制している方だ。」
「え~、先輩の言う節制って、あんまり信用できないかも。」
「おい、お前、今息が整ったら殴り倒してやるからそこでジッとしていろよ!!」
「じゃ、そうなる前に退散しちゃってもいいですかね??先輩のとこの危ない方々も来た事だし・・・・」
言いながら私がそれまで屈めていた体を起してその場から立ち去ろうとすると、そんな私を追うかのようにして、彼の口から言葉が吐き出されていた。
「待てよ、希咲!!今日はお前に暇潰しで声掛けたんじゃねえんだよ!!!」
「?!」
彼の言葉に、動き掛けていた足を思わず止めていた。
「お前、今年で卒業だろうが、それに関することで、少し、話があってよ。」
彼がそれまで寝転がらせていた体を起こすと、私の顔をジッと見据えてきた。
「あ、すいません、何か嫌な予感がするんで今回はパス・・・・・・・・・と、いう訳には・・いかない・・・です・・よ、ねえ?!」
そ知らぬ振りで押し切って、この場を退散してしまおうと思っていたのだけれど、私はいつの間にか彼の護衛隊によって、その周囲を見事に取り囲まれた状態になっていた。
ただ単に、私の気のせいなのかも知れないのだけれど、皆さん、揃いも揃って鬼気迫る表情で私を取り囲み、見下ろしてきている・・・ように見える。
さて、何処からこの包囲網を切り崩してこの場を切り抜けようか・・・・・・
そう思った時、彼の指令の声が飛んできた。