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白夜1

匠にいちゃんとの二度目の行為を終えた後で、自分の体がカクカクになっていて、思ったように体に力が入らない状態になってしまっていることに気がついた。


行為を終えて、体を起こしたまでは良かったのだけれど、ふと見下ろしたそこが、鮮血(?!)に染まってしまっていることを発見して慌ててそれを片付けようとしたのだけれど、カックン・・・・・・・


って、腰に力が入らなくて、ずっこけて、ベッドの上にコテン・・・・・・

って、感じに転がってしまっていた。




「どうした?!」

「なんか、体がカクカクして、力が入らないみたい。」

「ぶっ、マジ??」


ずっこけたままの私を見て、匠にいちゃんがちょっと苦笑いを交えながら見下ろしてきた。


「・・・・・・・仕方ねえな。」

なんて言いながらベッドの上に転がった状態の私の方に向かって匠にいちゃんが腰を屈めてくると、その体をひょい、と抱え上げてベッドから下りていた。

そして、室内を見廻したところで、私の体を部屋の片隅に置いてある机の上に座らせていた。


「後片付けはオレがするから、瑠依はここで少しの間おとなしくしてな。」


言いながらキスをして、ベッドの上にあった大判のタオルケットを私の体に掛けてくれていた。

「終わったら、置きっぱなしの瑠依のワンピースも持ってきてやるから、そのままおとなしく待ってろ。」

「うん。」

匠にいちゃんの言葉に素直に頷くと、彼は手馴れた手付きでシーツを取替え、汚れたそれを手に、部屋を出ていた。


正直言って、匠にいちゃんがいなくなって、物音ひとつしない部屋に私ひとりが残された時は、なんだか心細かった。

家に居るときはひとりきりの時間が多いので慣れている筈だったのに、匠にいちゃんの姿が見えなくなった途端になんだか無性に寂しさを感じて、匠にいちゃんの掛けてくれたタオルケットを強く握り締めていた。

匠にいちゃんは家に帰ってくることがそんなに無いから、それに彼の匂いが沁み込んでいるということはなかったけれど、それでも、何かに頼らなければ、心が落ち着かなかった。


匠にいちゃんが戻ってきたのは思ったよりも遅い時間だった。

何をしていたのかは分からないけれど、部屋のドアを開けた際に、その隙間から一瞬見えた彼の表情が硬かったようにも思えた。

だけど、ドアを開けて室内に入ってきた匠にいちゃんはいつもと同じで、その顔つきは優しいものだったので、さっきチラリと見えた表情は暗さの為にそう見えたのかも知れないと自分に言い聞かせていた。


「わりい、ちょっと遅くなった。」


照れ臭そうにして、彼が手にしていたモノを私に手渡してくれた。

私の、ワンピース。

私はそれを受け取って、上から被るようにして着ると、背中のファスナーを上げた。



「・・・・・・・・・・歩ける?」


彼はベッドの上にゆったりと腰を下ろして、私の仕草の一部始終を見ていたみたいで、私がワンピースを着終えると立ち上がり、私に向かって歩き出していた。


「う、うん、大丈夫。」

言いながら、足からゆっくりと降りる。

降りようとした匠にいちゃんの机は以外に高くて、床の上に辿り着くまでの時間が思っていたよりも長くてちょっと焦ったりもしたけれど、もう、その時には体がカクカクすることもなかったので、キチンとその場に立つことが出来ていた。

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