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年下の彼4
「あ、あの・・・・・」制服姿の彼と歩き出して間も無く、そのプレッシャー(?!)に耐え兼ねて、思わずその不安を言葉にすることしか思い浮かばなかった私は、思い切って彼に話し掛けてみた。
「なに?!」
私の言葉に、彼がコチラを見下ろしながら聞いてくる。
「私、制服着ている悠一くんと歩いていて、不釣合い・・・・・・・っていうか、可笑しかったりとかしていない、かな??」
「何?!そんなこと気にしてるの?大丈夫だよ。」
なんて言って、彼は全くそんな事なんか気に掛けることなく人込みの中を手を繋いだまま、突き進んでいた。
「な、平気だったろ?」
二人で改札を抜けて、駅のホームで電車を待っていると、彼は当然♪♪みたいな顔して私に向かって笑みを漏らしてきた。
彼の言う通り、誰も私達に対して違和感を抱いた人はいなかったみたいで、驚いたようにして振り返られたことも、嘲笑を浴びることも無かったことに、私はちょっと意外な気がしたことも事実だったけど、可笑しな目で見られないで済んだことにほっとしていた。
「う、うん。」
「・・・・・・・・・そんなに気になった??」
「だって・・・・・・・・私のせいで悠一くんが笑われたりとかしちゃったら悲しいし・・・・・・・・・・」
「ぶっ、そんなことないって、気にしすぎだよ。」
なんて、私の心配を他所に、彼は噴き出しながら今度はイタズラっぽい笑みを溢していた。
そうか、気にしすぎなのか・・・・・・・・・なんか、それまでは夢心地で居たけど、制服姿の彼を見た途端、一気に現実に引き戻されたような気がして、私、何勝手に舞い上がっているんだろ?!
って、思ってしまっていたのだけれど、思い過ごし、というか、気にしすぎだったんだね。
良かった。
安心して、やっといつものように笑みを漏らしたら、それを見た彼も、嬉しそうにして笑みを返してくれた。
そして、そのまま私の手を引いて、移動を開始した彼。
あれ?!何処行くの??
不思議には思ったけれど、そのまま彼について行く。
結局、彼がその足を止めたのは、電車の最後尾が停車する位置だった。
いつもは降り口に合わせて乗るのに・・・・・・・・・・・
最後尾だと不便だよ。
「?!」
不思議に思って首を捻りながら彼の顔を見上げると、言葉の代わりに笑顔で返されてしまった。
最後尾だと、ゆっくりとお話とか出来る・・・・・・のかな??
その時は、本当にそれくらいのことしか考えが及ばないまま、私達はやがてやってきた電車の車内へと乗り込んでいた。
乗り込んだそこは、他の車両に比べて不便な位置に停車することと、ラッシュの時間帯とはずれていたこともあってか、人影も疎らだった。
そんな車内の一番奥、人影の全く無かった車両の後部に私達は立った。
別に席が開いていなかった訳ではなかったけれど、その方がお互いに向き合って話をすることが出来るので、私達は例え空席があったとしても、そこに座る確立は殆ど無いに等しかった。
そして、その時もいつものようにして会話を再開。
他愛も無い話をしていて、そんな中で不意に彼から名前を呼ばれた。
「奈々深。」
はじめて呼び捨てにされて、思わず彼の顔を見上げてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
見上げたその時に合わせるかのようにして、彼の唇が私の唇の上に重ね合わされてきた。
驚く間も無く彼に唇を添えられて、そのくせ、その時に合わせて自分が目を閉じることが出来たことにもちょっと驚いちゃったりとかしたりして。
なんて、そんな気持ち的な余裕を持つことが出来ていたのはそこまでだった。