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真昼の月=月の誘惑3=
「折角だ、最後までそのお姉ちゃんの面倒みてやりな。」奴は戸口付近で悠々とタバコを咥えていやがった。
「なんでだよ?!」
当然の事ながら不満を口にすると、奴はその口元に笑みをふくんでいた。
「そうすりゃあ、後はその姉ちゃんが何とかしてくれる・・ぜ。」
「あん??」
俺は首を捻りながら目の前の小柄な姉ちゃんを見下ろした。
「・・・・・・・・・・・・・。」
その赤味の強い唇が、意味を含んだ笑みを溢している。
「ただし、ある程度の必要条件がお前にも付加されることになる・・・が、な。」
「じょ、条件??」
俺の問い掛けに奴は答えることなく、黙ってお姉ちゃんの方をその視線で指し示していた。
「・・・・・・・・・・たくちゃんが、最後まで私のこと気持ち良くしてくれたら、ちゃんと協力してあげる♪」
「どういう意味・・だ??」
俺の問い掛けに返答らしい返答が返ってくる事は無かった。
あるのは、意味を含んだ瞳と、口元・・・・・・・・・・・
その唇が俺のそれへと押し当てられる。
「詳しいことは、たくちゃんは知らなくても良いの、その代わり、優しくしてね、そうすれば私、キチンと片付けておいて上げるから♪♪♪」
「は、話が見えねえ。」
重ねた唇を離した後で、女が自信に満ちた笑みを溢している。
俺の困惑などどうでもいいようだ。
「で??どうするよ?!」
話の展開が全然見えていねえのに、安易にはいそうですか、と、返事を返す訳にもいかねえ。
スッカリ弱りきってしまった俺は、戸惑いながら奴の姿に視線を移す。
「・・・・・・お前、今お前の家に超ど級の御令嬢が寝泊りしてるの、知ってるな?!」
「??瑠依・・・・・・・・・・か?!」
俺の言葉に、奴は黙って頷いていた。
「お前、その姉ちゃんとちょいと良いことしておきな。」
「って、おい、それって、つまりは・・・・・・・・・・」
「やっちまえ。・・・・・・・・・そう、言ってんだよ。」
奴が悪びれることも無く、凄味を利かせた視線で俺を見てきた。
「・・・・・・・・・・・おい、冗談・・・・・・・・だろ??」
「いいや、その代わり、そのお嬢ちゃんは丁寧に扱えよ、結果としては相手の承諾を得て出来る段階にまで持ち込んでから突っ込んどけ。」
「・・・・・・・・・・って、何言ってんだ、てめえ!!!!!」
思わず、目の前の姉ちゃんふっ飛ばして奴をぶん殴りそうになる。
それを、奴がその視線で押し留めてくる。
「最終的には、同意の上で・・・と、いう形にまで持ち込んでおけ、お前なら出来る筈だ。」
「だから、無茶言ってるんじゃねえよ、あいつは・・・・・・」
「表立った発表には至ってはいないが、志信と近く正式にその交際が認められる予定・・・・・なんだろ??
ただし、その当事者のひとりであるお嬢ちゃん自身はそのことを知らされていねえし、知らねえ。
違うか??」
「・・・・・・・・・・多分、そう・・・なんじゃねえのか。」
奴の言葉に、俺の口調が押し留められる。
何もかも、承知の上でのこと・・・・・・・・だというのか。
「今回の件はおふくろさんのことも含めて、お前さんの若さ故の・・・・・・・・・ってえことでまとめておかねえか??
そうしておいた方が後々面倒が残らねえ。」
「つまり、表立っては俺の『やんちゃ』で済ませとけ、ってことか。」
俺の言葉に、奴は何も告げることなく煙を吐き出していた。
「後は他で上手いことまとめておく、そうしておいた方が結果としては一番落ち着き具合が良いんだよ。
分かるか、匠。」