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年下の彼7

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」


彼が、その足を不意に止めていた。

そして、その視線の先にあるコンビニを、彼は暫くの間黙ってみていた。



「奈々深、この先、コンビニってあるの?!」

「コンビニ??あるけど・・・・・・でも、私は大抵はここで買っちゃうかな、此処の方が商品が豊富だから。」

「そうか・・・・・・・」


私の返答を聞き終えた彼はそれだけ言うと、ゆっくりとコンビニに向かって歩き出していた。


「奈々深、何か食べる?!」

「私は、大丈夫。」

「・・・・・・・・・・・・飲み物は?!」

「うん、それもある。」

「分かった、ちょっと待ってて。」


それだけ言うと、彼はコンビニの中に姿を消していた。


「ただいま。」

「お帰り、何買ってたの?!」

「ん?!晩飯。」

「え、そうなの??おにぎりとか???」

「うん。」

「え、足りるの??育ち盛りでしょ?!」

「いや、これ、繋ぎだから・・・・・・・・・・家に帰れば普通に夕飯の準備してあるし。」

「・・・・・・・・・・・・・そうだよね。」


そんな会話を繰り返して、一度途切れた後で、自分が「何か」を期待していたことに気がついた。

彼が、自分の家に帰ることを視野にいれて考えている事に、寂しさを感じていた。

そのことを感じ取ってしまい、自分でもそのテンションが急激に下がっていくのが分かった。


私ってば、最低・・・・・・かも。


「・・・・・・・・・・・・・・。」

急に俯いて黙りこくってしまった私の手に、自分の手を絡ませて、彼はいつもと同じようにして歩き出していた。


「奈々深のアパート、どれ?!」

聞かれて思わず顔を上げると、彼が直ぐに笑顔で私の顔を見下ろしてくる。


「・・・・・・・・・・。」

「奈々深、聞いてる?!」


けれど、私は彼に対して返答を返すことが出来ずに居た。


「・・・・・うん。」

自己嫌悪・・・・・・・・・どんなに大人ぶっても、年齢を重ねていても、私は私であって、どう転んでも、私に「大人としての対応」なんて、無理だった。


無理・・・・・・・だったんだ。


彼の顔を見上げていると、唇を重ねていた時のことを思い出してしまう。

そして、その先のことまでをも求めてしまいそうな自分がそこに居て・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・・。」

私が何かを告げようとするよりも先に、それまで横に居た彼が私の体を自分の方へと引き寄せてきた。

そして、その体を抱え込んできて、キスをしてくれた。


路上でキス。


なんて、今までだったら絶対に考えられなかったことだけれど、今はそうしてくれることがとても嬉しくて、触れているその感触に安堵しながら、互いの唇を重ね合わせていた。


「不安があるの、奈々深だけじゃないから・・・・・・・・・」


唇を離し終えた彼の言葉に、私の涙が再び零れ落ちそうになっていた。

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